ひと言で「福祉の仕事」といってもさまざまな職種・役割があり、相互に協力・連携することで初めて適切な支援が成立します。ここでは福祉に関する仕事について、支援の対象や従事する職業に関する知識をお届けします。
まずは「支援の種類」「運営主体」「資格」という3つの面から福祉の仕事にアプローチしてみましょう。
身近な子どもの支援といえば、保育所における保育サービスでしょう。ですが、福祉における子どもの支援はそれだけではありません。わが国では、さまざまな理由から家庭で暮らせない子どもたちや、厳しい家庭環境におかれている子どもたちの生活や発達、自立を支援するための施設サービスが整備されており、児童養護施設や乳児院、母子生活支援施設、障害児施設などがそれにあたります。
このような福祉サービスは、児童福祉の基本法である「児童福祉法」に基づいて実施されています。
我が国における障害者への福祉サービスは、障害の種別ごとの福祉から障害者基本法に基づく福祉を経て、さまざまな課題を乗り越えながら2006年の障害者自立支援法の施行に至りました。同法は2010年に前述の児童福祉法などと同時に改正され、利用者負担の見直しや相談支援体制の強化、施設体系の一元化や新サービスの創設などがなされています。
障害福祉サービスは、日常生活における介助(介護)の支援を受ける場合は「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」にカテゴライズされ、利用のプロセスも異なります。
少子高齢化が急速に進展する昨今、認知症高齢者の増加や核家族化の進行、家族の介護能力低下なども相まって、高齢者の介護が社会的な課題となっているのは今や常識です。
高齢者に対する訪問介護や福祉施設の利用など、具体的な支援の多くは2000年に設立された介護保険制度に基づいて実施されています。介護サービスを利用するためにはあらかじめ要介護認定を受ける必要があり、本人の所在地である市町村が窓口になります。
介護保険制度は国民生活にすっかり定着し、それによる支援は要介護高齢者の生活になくてはならない存在となりました。今後も介護サービスの需要は高まっていくことが予想されています。
少子高齢化や社会の多様化が叫ばれるようになって久しく、福祉の業務に就く公務員の必要性も年々高くなっています。こうした時代背景のもと、さまざまな福祉職が全国の自治体で活躍できるようになったのは喜ばしいことです。
さらに、法務官や保護観察官、家庭裁判所の調査官補など、国家公務員としての福祉職もニーズが増えつつあるようです。
民間企業が社会福祉事業を運営するのは珍しいことではありませんが、かつてはさまざまな見方がありました。民間企業は基本的に営利を追求するため、提供するサービスの質が低下するとさえいわれた時代があったのです。
しかし、現実的には民間企業が福祉サービス事業の多くを占めており、民間企業だからサービスの質が低下しているという事実もありません。むしろ質の向上を常に考えている民間企業が生き残っているといえるでしょう。
国家資格とは、国が定める教育課程をクリアした者に受験資格が与えられ、国家試験に合格した場合に与えられる資格を指します。この資格には「業務独占資格」と「名称独占資格」があり、前者は資格がなければその業務を行うことができない資格、後者は資格取得者以外の者がその資格を名乗れない資格のことです。
福祉に関する国家資格には「社会福祉士」「介護福祉士」「精神保健福祉士」「保育士」の4つがあります。
公的資格とは、主に省庁が認定する基準に基づいて公益法人や民間団体が実施する試験に合格することで与えられる資格を指します。この試験は法で整備されているわけではないため、原則として特別な権限が付与されるものではありません。その多くは受験者を等級別に認定する、いわば検定に近い性質です。
福祉に関する公的資格には「介護支援専門員(ケアマネージャー)」「訪問介護員」「福祉住環境コーディネーター」「福祉用具専門相談員」などがあります。
任用資格とは、特定の職業や職位に任用されるための資格を指します。つまり、その資格を取得した上で該当する職務に任用されることで初めて効力を発揮する資格といえます。
福祉に関する任用資格には「社会福祉主事」「知的障害者福祉司」「児童福祉司」「児童指導員」「身体障害者福祉司」などがあります。
障害者福祉施設に入所または通所している人たちは、身体や精神に障害を抱え、自立した生活を送ることが困難です。そういった人たちに対して相談や助言、職業指導、就労支援、作業指導などを行うことを「対人援助サービス」といいます。
具体的には、日常生活における相談や指導を行う「生活支援員」、技術指導や職業訓練を行う「職業指導員」、就職活動の支援や障害者に合った職場を探す「就労支援員」、実際の作業を通して指導を行う「作業指導員」として、障害者が自立した生活を送れるように支援しています。
学生さんの間では「福祉系の就活時期は遅い」といわれることが多いようですが、なぜなのでしょうか。そこには福祉業界に特有の事情があります。改めて、福祉業界と他業界の就活の違いを比較してみましょう。
ブラックと揶揄され、「就職しないほうがいい」などといわれることも少なくない福祉業界。本当にそうなのでしょうか。さまざまな公的データや業界特有の制度から、その真相を調査してみました。
社会福祉学科で学ぶ領域は広く、それを活かせる仕事もたくさんあります。卒業を控えている学生さんに向けて、就職の選択肢のほか、進路に迷ったときの考え方のヒントをお伝えします。
心理学科という専門性の高い分野を学んできたのですから、それを活かした就職先を見つけたいと思うのは当然です。どのような仕事があるのか、どのようなキャリアを積んでいけるのか、改めて考えてみましょう。
障害者支援施設にはさまざまな形態がありますが、障害者支援施設では利用者さんの食事や入浴、排泄等の援助や生活に関する相談やアドバイスなど、日常生活に必要な支援を24時間体制で行っています。
画像引用元:社会福祉法人ル・プリ(https://le-pli.jp/)
「ル・プリ」は、人と人とのつながりを大切にした対人援助やウェルビーイングの実現に取り組む社会福祉法人です。職員が1 つの大きなチームとなって障害を持つ目の前の方と向き合い、安心できる生活の場を提供しています。横浜市内10 区で展開する知的障害の方の障害者支援施設では、利用者さんが社会活動に参加しやすいよう、地域コミュニティに根ざした自立支援援助なども積極的に行っています。
画像引用元:社会福祉法人ル・プリ(https://le-pli.jp/)
「ル・プリ」では、障害部門、児童福祉部門、高齢部門、保育部門の4 事業を幅広く展開しているため、入社後に障害部門から児童福祉部門へ など、転職をせずとも1 つの法人の中で様々なキャリアチェンジが可能です。
奨学金をつかって大学に通っている場合、貸与型奨学金制度(在学中卒業まで対象)や、奨学金返済支援手当(返済開始から10年)といった制度を利用することで、金銭的な面でもサポートが受けられます。
横浜市の福祉業界へ就職を考えている新卒就活生のためのメディア「ラ・レトル」は、現職社員の声を集めた就職者向けポータルサイト「VOiCE」を運営するZenken株式会社が制作・運用しています。「福祉」という、クリエイティブで奥深い業界の魅力をぜひ知ってもらえることを願います。