「福祉業界やめとけ」の真相を調査

ブラック業界と揶揄されることも少なくない福祉業界。根も葉もない噂を真に受けた家族や友人から「福祉業界はやめとけ」と忠告された経験がある学生さんも少なくないでしょう。

本当に福祉業界はブラックなのか、その真相に迫るべく行った調査の結果をお伝えします。

福祉業界で働くのは大変?反対意見が出る理由

まず、福祉業界への就職に反対意見が多い理由を大きく4つ挙げてみます。結論からいうと、いずれも事業者サイドの問題であって、仕事そのものに問題があるわけではないことが分かりました。

慢性的な人手不足?

福祉業界は慢性的な人手不足といわれ、スタッフ1人あたりの業務量が多く、管理者や生活相談員も現場対応に追われて本来の業務ができない、という声もしばしば聞かれます。そうして心身ともに疲弊した結果、退職の連鎖が止まらずに離職率が増加していくことがブラック業界とされる所以なのかもしれません。

しかし、福祉業界の離職率が際立って高いというのは本当なのでしょうか。福祉業界のひとつである介護業界を例にとって検証してみましょう。

介護労働安定センターが実施した「令和4年度介護労働実態調査」(*1)の結果によると、介護業界の離職率は14.4%と前年度からほぼ横ばいで、これに対して厚生労働省が実施した「令和4年雇用動向調査結果」(*2)では業種全体の離職率が15.0%となっています。

業種別でみた場合、もっとも離職率が高かったのは「宿泊業、飲食サービス業」の26.8%、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」の18.7%と続きます。介護業界の離職率は業種全体と比較して同水準であり、さらに離職率が高い業種も存在することがわかります。

この数字が何を意味するかといえば、決して福祉業界がブラックなわけではなく、ブラックな施設や事業所が目立つ、もしくは噂になりやすい業界ということなのかもしれません。

参照元1:公益財団法人介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査結果の概要について」(PDF)(https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/2023r01_chousa_gaiyou_0821.pdf
参照元2:厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概要」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-2/

賃金が業務量に見合わない?

福祉業界には重労働のイメージがあり、実際に交代勤務や長時間の夜勤、利用者さんの介助など、相応の身体的な負担がかかることは間違いありません。それに比べて支払われる賃金が低いというのは、以前から現場の声として上がっていました。これも福祉業界が大変だといわれる理由のひとつです。

このような状況を打開するために厚生労働省が制度として定めたのが「福祉・介護職員処遇改善加算」です。この加算は障害福祉サービスにおいて直接支援に従事するスタッフの「更なる」賃金改善に充てるため、具体的には1月あたりのサービス総単位数にサービス種類別の加算率を乗じた単位に相当する金額が事業所に支給されます。

この制度の肝心な部分は、事業所の人件費負担の軽減が目的ではないということです。事業所が支払っている賃金の原資に加算を充当することはできません。通常の賃金やボーナスに上乗せしてスタッフに還元することが決まりです。これによって、現場で働くスタッフの給与水準は大きく改善されています。

この加算を取得するためには、スタッフの資質の向上、待遇の向上、職場環境の改善に取り組む必要があります。いずれも良い人材を確保するために必要なことですが、その取り組みを避けて加算を取得せず、結果としてスタッフの給与水準も上がらないという事業所も一定数あるようです。

有給休暇が取りにくい?

前述の人材不足にも関連して、有給休暇が取りにくいとされることも福祉業界をブラックだと言わしめる原因ではないでしょうか。確かに現場のオペレーションをギリギリのスタッフ数で回していれば、有給休暇はおろか公休の消化さえままならないケースも出てくるでしょう。これでは福祉業界で長く働くことを諦めるのも無理はありません。

ですが、そう決めつける前にデータを見てみましょう。厚生労働省が実施した「令和4年就労条件総合調査」によると、労働者1人あたりの年次有給休暇取得率は業種全体で58.3%となっており、業種別に見ると医療・福祉は60.3%と全体を若干上回っています。これも離職率と同じく、福祉業界が際立っているわけではないことがわかります。

参照元:厚生労働省「令和4年就労条件総合調査の概況」(PDF)( https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/22/dl/gaikyou.pdf

給料は?制度は?
福祉業界の働きやすさを
調査

ここまでお伝えした内容から、世間が抱える福祉業界のイメージには大きなバイアスがかかっている場合も多いことがご理解いただけたと思います。それでは改めて、給料や制度の面から福祉業界の働きやすさについて考えてみましょう。

福祉業界の給料

福祉業界にはさまざまな職種や勤務形態がありますが、ここでは常勤の生活支援員を例に挙げてみます。

厚生労働省が実施した「障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査」をもとに試算すると、常勤の生活支援員の平均年収は約380~400万円だと考えられます。

根拠となった数字は全国平均なので地域差はありますが、この平均年収は他業界と比較しても低くありません。経験を積むことや資格を取得することで、一般職でも平均を大きく上回る年収を得ているスタッフも多くいます。

参照元:厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」( https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/toukei/shogu_tyousa/r04.html

福祉業界の制度

福祉業界で働くスタッフの処遇を改善するために、国はさまざまな施策を制度として運用しています。代表的なものが前述の「処遇改善加算」であり、ほかにも「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」といった、スタッフの月額賃金を向上させるための制度が創設されてきました。こうした制度に真っ当に取り組んでいる事業所では、他業界と遜色のない賃金水準を実現していると思われます。

令和6年度の介護報酬改定・障害福祉サービス報酬改定では、これらの加算が一本化され、新たな処遇改善加算の制度がスタートします。

社会貢献だけじゃない!
福祉業界で働く魅力

福祉業界イコール社会貢献というイメージを持っている人は多いと思われますが、実際に働いてみると社会貢献だけではない、福祉業界ならではの魅力を感じられます。言葉で伝えることは難しいのですが、福祉業界で働く魅力を深掘りしてみましょう。

福祉の本質とは

私たちの心の中には、多かれ少なかれ「困っている人がいたら力になりたい」「思わず手を差し伸べたくなる」といったシンプルな感情があります。それが福祉の本質であり、同時に人間としての倫理の基本ともいえ、だからこそ福祉業界で働くことに魅力を感じるのではないでしょうか。

一方で、労働とその対価という関係が存在するのも事実です。もちろん福祉の仕事はボランティアではありませんので、働く人によって価値観も違います。ただ、さまざまな価値観が交差する中でも福祉の魅力を問えば、やはり人と人との感情の交流を外して考えることはできません。福祉の本質とは、身近な人の役に立つこと、もしくは役に立ちたいという感情にあるのだと思われます。

福祉業界で働く意義

福祉の仕事は低賃金で重労働というイメージが先行しているせいか、現場を知らないまま「福祉業界はやめとけ」という心無い言葉を口にする人もいます。では、実際に現場で働く人もそう思っているのでしょうか。決してそんなことはないはずです。

なぜ福祉業界で働くことを選んだのか、それは「利用者さんの喜ぶ顔を見たいから」「対人支援を勉強してスキルアップしたいから」「人とのつながりの中で自分の生きる意味を実感したいから」など、答えは人それぞれ違うでしょう。いずれにしても、障害を抱えた人と向き合いながら自分はどうありたいのか、どうなりたいのかを考えながら仕事を続けていくことが答えになりそうです。

福祉業界で働くことを目指して就活を進めている学生の皆さんには、改めて福祉の意義を考える機会をもってほしいと思います。きっと福祉業界の魅力に気づいてもらえるはずです。

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画像引用元:社会福祉法人ル・プリ(https://le-pli.jp/)

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POINT
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POINT POINT

参照元:ル・プリ採用公式HP(https://le-pli.jp/recruit/analysis/

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