心理学科で学んだことを活かせる仕事は数多くあり、就職の選択肢も広がります。心理職として活躍できる資格や職場について十分に知っておき、自信を持って就活に望むようにしたいものです。
心理学科はその名のとおり心理学を専攻する文系分野の学科であり、卒業後はさまざまな仕事を選択できます。心の病気を患っている人だけではなく、無意識のうちに心の負担を抱えてしまっている人をサポートする方法なども確立しているため、心理学科を卒業した人には福祉業界にも就職の選択肢が多くあります。
学生さんの中には、その選択肢を絞り切れずに悩んでいる人も多いかもしれません。そんな方のために、ここでは考えを整理するヒントをお伝えしたいと思います。
心理学科は専門性の高いコースですから、大学受験の際に将来やりたいことが頭に浮かんでいた人も多いのではないでしょうか。それを思い出してみましょう。大学を決めたときのように、今度は就職先を決めるきっかけになる可能性があります。
心理学科では福祉、医療、教育などの現場で心理実習を経験していると思いますが、その中で実際に働いているイメージがわいた人もいるでしょう。同じように、心理学の専門的な知見を活かして活躍している、新社会人としての自分をイメージしてみてください。それに合った就職先が見えてくるかもしれません。
心理職として専門性を高めてキャリアアップするには、何より経験を積むこと、場数を踏むことが第一です。たとえば数百種類に上るという心理療法の知識を追求していくことも不可欠ではありますが、知識だけではキャリアアップを果たすことはできません。多くの経験を得られそうな業界を選ぶことが大切です。
それでは、心理学科で学び、福祉業界の仕事に活かせる資格をみていきましょう。
社会福祉士は官民さまざまな組織に属して高齢者や障害者、生活困窮者、虐待が起こっている家庭などの相談に対応し、さまざまな支援を通じて福祉サービスや医療サービスにつなげる仕事です。
社会福祉士は名称独占資格で、国家試験に合格して所定の登録を得なければ社会福祉士を名乗ることはできません。
2017年に誕生した公認心理師は、心理系では初となる国家資格であり、心理学の専門的なノウハウを活かして心理分析や支援、アドバイスなどを行う仕事です。
受験には大学と大学院における所定科目の履修が必要ですが、資格を一度取得すると更新は不要のため、心理系の仕事を長く続けたい人におすすめです。
臨床心理学の専門的な知識・技術を活かして心理分析や支援、アドバイスなどを行うのが臨床心理士です。公認心理師と違って民間資格ですが歴史は長く、知名度は臨床心理士のほうが高いかもしれません。
仕事の内容は公認心理師と大きく変わりませんが、5年ごとの更新が必要です。
主に高齢者介護施設の利用者さんや家族のサポートを行うのが生活相談員です。地域の福祉サービスや行政などとも連携し、調整を行う窓口のような役目も担っています。介護職と兼務するケースも多いようです。
心理学に特化した仕事というよりも、心理学の知見を活かして仕事の幅を広げていくというイメージです。
「矯正心理専門職」とも呼ばれ、受刑者や非行少年などの更生・社会復帰を支援するのが法務技官の仕事です。主に刑務所や少年院などに勤務し、犯罪の原因分析や更生プログラムの提案を行ないます。
法務技官は国家公務員のため、試験に合格しなければこの仕事に就くことはできません。
次に、心理学科を卒業した人の主な進路(就職先)を紹介しましょう。
メンタル系クリニックなどで患者さんの悩みに寄り添い、心理療法を駆使して解決へと導いていくのがカウンセラーの仕事です。電話やオンラインのプラットフォーム、メールやチャットなどでカウンセリングが行われる場合もあります。
病気やけがの治療で不安や悩みを抱えている患者さんに対し、治療に専念できるようにさまざまな支援を行うのが医療ソーシャルワーカーです。介護に関する相談にも対応するなど、医療と福祉の橋渡し役のような側面も合わせ持っています。
児童福祉施設にもさまざまな形態がありますが、心理職の活躍の場として挙げられるのは児童相談所や自治体の虐待対応窓口、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、保育所などです。特に地域レベルで虐待防止の必要性が高まっていることから、児童福祉分野における心理職の重要性は年々高まっている印象があります。
障害者福祉施設では、さまざまな人たちが自身の障害と向き合いながら過ごしていますが、場合によってはトレーニングに限界を感じ、不安や悩みが深まってしまうことも少なくありません。そんなとき、心理カウンセラーのような専門職が対応することで障害を抱える人が精神的な安定を取り戻し、日々の時間に大きな価値を見出せるようになります。
高齢者福祉施設における心理職の仕事は、施設で暮らす高齢者に向き合いながらメンタルケアを施し、不安や悩みを解消していくことです。わざわざ通院しなければならない精神科・心療内科よりも、施設内で気軽に相談できる心理カウンセラーの需要が高まっており、介護職と兼務しているケースもみられます。
障害を抱える児童が通い、日常生活における基本的動作・知識の習得を目指すほか、集団生活に適応するための訓練を受ける施設です。心理職は主に学習障害や発達障害の児童に対する専門的な支援を行ないます。
自治体の体制によっては、専門職ではなくケースワーカーとしての業務に就くこともあります。とはいっても、ケースワーカーの仕事内容は多岐にわたり、さまざまな人と向き合うことになるため、むしろ心理職としての知見を活かす場面が多いと考えられます。
さまざまな企業のマーケティング・広告部門では、消費者の行動を心理学の視点から分析し、購買意欲を高めるための取り組みが行われています。心理職はそのような場面において、消費者のニーズに則したマーケティング・広告戦略を打ち出すためのアドバイスができます。
一般的には就職や転職を考えている個人に対してサポートやアドバイスを行う仕事を指しますが、近年では一般企業においてスタッフのキャリア相談に対応する職種を「キャリアアドバイザー」と呼ぶケースがあります。個人とじっくり向き合う必要があるため、心理学の知見が活かせる仕事だといえるでしょう。
前項のキャリアアドバイザーに通じるところもありますが、心理職が人材育成に携わることで「スタッフが思い描いている自らのキャリア」と「組織がスタッフに期待していること」をマッチさせることができれば、優秀な人材の育成に資することにつながります。
画像引用元:社会福祉法人ル・プリ(https://le-pli.jp/)
「ル・プリ」は、人と人とのつながりを大切にした対人援助やウェルビーイングの実現に取り組む社会福祉法人です。職員が1 つの大きなチームとなって障害を持つ目の前の方と向き合い、安心できる生活の場を提供しています。横浜市内10 区で展開する知的障害の方の障害者支援施設では、利用者さんが社会活動に参加しやすいよう、地域コミュニティに根ざした自立支援援助なども積極的に行っています。
画像引用元:社会福祉法人ル・プリ(https://le-pli.jp/)
「ル・プリ」では、障害部門、児童福祉部門、高齢部門、保育部門の4 事業を幅広く展開しているため、入社後に障害部門から児童福祉部門へ など、転職をせずとも1 つの法人の中で様々なキャリアチェンジが可能です。
奨学金をつかって大学に通っている場合、貸与型奨学金制度(在学中卒業まで対象)や、奨学金返済支援手当(返済開始から10年)といった制度を利用することで、金銭的な面でもサポートが受けられます。
横浜市の福祉業界へ就職を考えている新卒就活生のためのメディア「ラ・レトル」は、現職社員の声を集めた就職者向けポータルサイト「VOiCE」を運営するZenken株式会社が制作・運用しています。「福祉」という、クリエイティブで奥深い業界の魅力をぜひ知ってもらえることを願います。