社会福祉学科で学んだことを活かせる仕事は多岐にわたるため、それだけ就職先の候補も多くなります。就活にあたっては、仕事に活かせる資格や進路について、できるだけ多くの情報を集めておきたいものです。
社会福祉学科を卒業した場合は、社会福祉士などの資格を得て福祉業界に就職するケースが一般的で、医療・福祉施設や各種行政機関などが主な活躍の場になります。一方で特別支援学校の教員や保育士になったり、社会福祉分野と関係が深い一般企業に就職したりと、社会福祉を学んだ人の進路はさまざまです。
学生さんの中には、あまりの選択肢の多さに進むべき道を迷う人も多いかもしれません。そんな方のために、ここでは考え方のヒントをお伝えしたいと思います。
卒業後の進路に迷ったら、大学受験の頃を思い出してみましょう。社会福祉学という専門性の高い分野を選んだのですから、そのときは自分が将来やりたいことが頭に浮かんでいたのではないでしょうか。その思いを振り返ると、自分が進むべき道が見えてくるかもしれません。
実習などを通じて、福祉の現場で働いているイメージが湧いたという人も多いのではないでしょうか。新社会人として活躍している自分を、さまざまな場面ごとに思い浮かべてみるのも面白そうです。しっくりくる進路が見つかるかもしれません。
社会福祉学科で得られた専門性を、仕事を通じてさらに高められるのは素晴らしいことです。キャリアパスが明確な業界を選べば、福祉業界の魅力も感じやすく、やりがいをもって仕事を続けられるでしょう。
それでは、社会福祉学科で学び、福祉業界の仕事に活かせる資格をみていきましょう。
社会福祉士は福祉・介護施設や医療機関、教育機関などに在籍し、支援が必要な人やその家族から相談を受け、専門的な知見を活かして問題解決にあたるのが主な仕事です。その人に必要な福祉や医療に関する情報を提供し、利用のための道筋をつける役割も担います。
社会福祉士は名称独占資格で、国家試験に合格して所定の登録を経なければ社会福祉士を名乗ることはできません。
社会福祉主事は行政機関における職名のひとつで、福祉事務所や児童相談所などで働く現業員(ケースワーカー)や査察指導員(スーパーバイザー)として任命されるために必要な資格です。
福祉六法が定める援護を要する人への面談や家庭訪問といった実務を担当するのが現業員で、その現業員の指導・監督を行うのが査察指導員です。
保育士は児童福祉法に基づく国家資格で、保育所のほか児童養護施設や乳児院、母子生活支援施設、障害児施設といった福祉施設などで保育や子育て支援業務にあたります。
現場では子どもたち一人ひとりの状況に合わせて、レクリエーションや生活体験を通して心と身体の成長をサポートするのが仕事です。保護者からの相談対応や、家庭・地域における子育て支援も保育士の重要な役割です。
児童指導員は、さまざまな事情によって児童養護施設などに入所している子どもや、放課後等デイサービスや児童発達支援に通っている子どもが健全に成長していけるよう、さまざまな面をサポートしていく仕事です。
児童指導員は国家資格ではなく、その仕事に就くためには学歴、職歴など一定の要件を満たして任用資格を得ることが必要です。
次に、社会福祉学科を卒業した人の主な進路(就職先)を紹介しましょう。
障害者支援施設とは身体障害者、知的障害者、精神障害者を受け入れる施設の総称で、社会福祉士をはじめとする専門職の存在は欠かせません。主な仕事は障害者の自立支援や生活支援で、施設によって立ち位置は異なりますが、障害者が地域で自分らしく生活できるようサポートする役割が期待されています。
児童養護施設とは、虐待など生活環境上の問題を抱える児童を受け入れるほか、退所後の自立に向けた支援を目的とした施設です。スタッフには対象となる児童が心身ともに自立した大人に成長できるように、保護者と一緒に安心できる療育環境を考え、地域のバックアップを得ながら支援することが求められます。
社会福祉協議会は市町村や政令指定都市の区単位、広くは全国単位で設置されている福祉機関で、行政や社会福祉法人、NPOなどと連携しながら福祉面、生活面での課題を抱えている人を支援する団体です。そこでは、社会福祉に精通したスタッフが福祉活動専門員や地域福祉コーディネーター、ボランティアコーディネーターとして活躍しています。
社会福祉法人やNPO法人は営利を追求せず、社会貢献を主な目的として活動しています。多くの法人が介護事業や福祉事業を運営しており、その事業内容によって専門職が直接支援や相談対応など、幅広い知見を活かしながら多様な役割を果たしています。
地方自治体、役所の福祉部門には「保健福祉課」や「介護保険課」「障害福祉課」などがありますが、それらの部署に福祉職として配属されます。地域住民の相談を受けての解決策の提案、生活保護受給者の家庭訪問や自立支援などが主な仕事です。
前項のほか、社会福祉学科を卒業した方が公務員として就職するのは以下のようなケースです。
スクールソーシャルワーカーとして学校に就職するケースもあります。仕事としては他の教員や家族と連携を取りながら相談支援を行ない、児童が抱える問題の解決を目指していきます。また、必要に応じて教育委員会や児童相談所との連絡調整も担当します。
社会福祉学科を有する教育機関の非常勤講師や指導員として、後進の育成に携わるというルートもあります。実務経験が必要な場合が多いので、別の施設や企業に勤めながら副業として社会福祉学科の非常勤講師を務める、といったイメージが近いでしょう。
社会福祉学科を卒業した方の中には産業ソーシャルワーカーや産業カウンセラーといった民間資格を取得し、労働者の福祉担当として一般企業に就職するケースもあります。また、企業として社会貢献や環境への取り組みなど、倫理的な観点からCSR(企業の社会的責任)を果たすためにも専門的な知見が役立ちます。
高齢者向け・障害者向け福祉サービスを提供する企業は増えており、ベンチャーから大企業まで規模もさまざまです。社会福祉学科を卒業した方の活躍の場も多く、定型的な業務だけではないのでやりたい仕事を見つけやすいかもしれません。
画像引用元:社会福祉法人ル・プリ(https://le-pli.jp/)
「ル・プリ」は、人と人とのつながりを大切にした対人援助やウェルビーイングの実現に取り組む社会福祉法人です。職員が1 つの大きなチームとなって障害を持つ目の前の方と向き合い、安心できる生活の場を提供しています。横浜市内10 区で展開する知的障害の方の障害者支援施設では、利用者さんが社会活動に参加しやすいよう、地域コミュニティに根ざした自立支援援助なども積極的に行っています。
画像引用元:社会福祉法人ル・プリ(https://le-pli.jp/)
「ル・プリ」では、障害部門、児童福祉部門、高齢部門、保育部門の4 事業を幅広く展開しているため、入社後に障害部門から児童福祉部門へ など、転職をせずとも1 つの法人の中で様々なキャリアチェンジが可能です。
奨学金をつかって大学に通っている場合、貸与型奨学金制度(在学中卒業まで対象)や、奨学金返済支援手当(返済開始から10年)といった制度を利用することで、金銭的な面でもサポートが受けられます。
横浜市の福祉業界へ就職を考えている新卒就活生のためのメディア「ラ・レトル」は、現職社員の声を集めた就職者向けポータルサイト「VOiCE」を運営するZenken株式会社が制作・運用しています。「福祉」という、クリエイティブで奥深い業界の魅力をぜひ知ってもらえることを願います。