福祉系の大学には、障害者支援や介護、保育の仕事を目指している学生さんが多いと思いますが、福祉業界は一般的な就活とは勝手が違う部分もあります。どのように活動していくべきかわからないという学生さんも少なくないでしょう。
ここでは、福祉業界での就活を進めていくために必要なポイントをお伝えします。
かつて厚生労働省が実施した「若年者の就職能力に関する実際調査」によると、採用にあたって半数以上の企業が重視するとされるスキルは「コミュニケーション能力」「基礎学力」「責任感」「積極性・外向性」「資格取得」「行動力・実行力」「ビジネスマナー」という結果が出ています。これらのスキルはどの業界でも求められますが、その上で業界ごとに必要とされるスキルの違いがそのまま就活の違いにつながるといってもいいでしょう。
たとえば外資系企業なら英語力、IT系企業ならITスキルが必須となるように、就職を目指す業界によって必要とされるスキルは違います。では、福祉業界に就職するためにはどのようなスキルが必要とされるのでしょうか。
参照元:厚生労働省「若年者の就職能力に関する実態調査」(https://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/01/h0129-3a.html)
福祉業界では社会福祉士や保育士など、就職に国家資格を必要とする職種は多くありますが、その一方で「未経験者歓迎」「経験不問」という求人が多いのも福祉業界の特徴です。大学によっては社会福祉主事や児童指導員の任用資格を得られるため、職種がマッチすれば未経験でも十分に働けます。特に障害者支援の領域では、任用資格を持っていることで求人の選択肢も広がってきます。
ただし、福祉業界は「対人援助職」であることを決して忘れてはいけません。さまざまな人に関わる仕事である以上、資格よりも人柄や仕事に対する熱意、他者とのコミュニケーション能力を重視されることが多くなります。もちろん、専門的な分野では資格が必要となるケースもあります。自分がどのような職種に就きたいのか、しっかり考えた上で就活に臨むべきです。
上記のとおり、福祉業界は人と直接かかわる場面が多い仕事です。しかし、記録や計画書、日報などパソコンを使った書類作成業務も非常に多くなります。専用のシステムを導入している施設も多いのですが、「Word」や「Excel」などのソフトで書類を作成している施設も少なくありません。
このようなソフトをある程度は使いこなせる基本的なパソコンスキルは身につけておいたほうがいいでしょう。
学生さんの間では「福祉系の就活時期は遅い」といわれる場合も多いようですが、これは新卒採用のために福祉業界が動き出すのが遅いというわけではありません。
福祉業界は慢性的な人手不足にあり、通年求人を出している企業や法人が多くなっています。特に障害福祉や介護の領域では、新卒採用だけではなく中途採用も年間を通して実施しているケースが大半を超えるため、極端にいえば就活をどのタイミングで始めてもある程度の求人は見つかると思われます。そういう業界事業ゆえ、福祉系の就活時期は遅いといわれるのでしょう。
ただし、そうはいっても特に求人が多くなるのは1~3月頃です。多くの求人から自分の条件にマッチした求人を見つけるためには、大学3年生の同時期に就活を始めることをおすすめします。
それでは、就活の段階ごとにやるべきことを考えてみましょう。
福祉業界への就職を目指すと決めたなら、まずは心の準備です。どのような職種、職場、資格があるのか、広く業界全体を眺めてみましょう。自分はどのような仕事をしたいのか、実際の求人の内容などを参考にしながら、自分の適性や向き不向きなどを分析することをおすすめします。
関心のある分野、職種が絞られてきたら、さまざまなツールを使って必要な情報を収集し、どのような職場に就職すれば自分のやりたい仕事ができるのかを明確にしていきます。
現在はインターネットや雑誌に掲載されている情報だけでもさまざまなことがわかりますし、見学やボランティア、アルバイトなどの方法で職場を体験することも可能です。有効な情報収集の手段は、とにかく自分でいろいろなところに飛び込んでみることです。実際に働いている人や利用者さん、家族、ボランティアの仲間などに話を聞いてみましょう。
情報収集の中で気になる施設や事業所があったら、とりあえずインターネットで検索してみましょう。現在ではサービス概要や取り組み、利用者さんの声、採用情報などをホームページに掲載している施設が多くあります。また、実際に見学してみて利用者さんやスタッフの雰囲気を肌で感じてみるのもおすすめです。
自分に合っていると感じる職場を見つけたら、求人をチェックします。希望する条件にマッチしているようなら、いよいよ応募の段階です。
福祉業界は人との関わりが重視されるため、書類選考をクリアしても面接選考が大きなハードルになります。また、新たに開設された施設や法人一括採用など多数の応募者が見込まれる場合は筆記試験を実施し、その合格者に小論文試験や面接を実施する2段階の選考も行なわれています。
選考にあたっては、前述のとおり人柄や仕事に対する熱意、コミュニケーション能力が重視されるほか、福祉に対する考え方や社会人としての一般常識など、人物像や適性も総合的に評価されます。
施設実習は学生にとって緊張の日々が続きますが、またとない貴重な現場での学びの機会でもあります。実習に行く施設によって内容は異なりますが、どんな施設にも共通する準備や心構えがあります。
福祉施設によって理念や方針、コンセプトが異なるため、事前にホームページなどをチェックして、施設の理念や取り組んでいる事業、信仰宗教の有無などを把握しておきましょう。
また、実習中は早番、遅番、夜勤など不規則な勤務を経験することになります。体調を崩さないよう十分に睡眠をとり、しっかり食べてきちんと動けるように体調管理を心がけてください。そして実習中は調理の機会があるかもしれません。めったに調理の機会がない人でも、お米を炊く、包丁を使う、お味噌汁をつくるなどの練習はしておいたほうがいいでしょう。
服装の留意点は施設によって異なります。たとえばジーンズやジャージはOKなのか、通勤着のままで実習に入ってもいいのか、施設見学(オリエンテーション)の時点でしっかり確認しておきましょう。また、屋外作業などがある施設の場合は、勤務用の靴も用意しておくべきです。
画像引用元:社会福祉法人ル・プリ(https://le-pli.jp/)
「ル・プリ」は、人と人とのつながりを大切にした対人援助やウェルビーイングの実現に取り組む社会福祉法人です。職員が1 つの大きなチームとなって障害を持つ目の前の方と向き合い、安心できる生活の場を提供しています。横浜市内10 区で展開する知的障害の方の障害者支援施設では、利用者さんが社会活動に参加しやすいよう、地域コミュニティに根ざした自立支援援助なども積極的に行っています。
画像引用元:社会福祉法人ル・プリ(https://le-pli.jp/)
「ル・プリ」では、障害部門、児童福祉部門、高齢部門、保育部門の4 事業を幅広く展開しているため、入社後に障害部門から児童福祉部門へ など、転職をせずとも1 つの法人の中で様々なキャリアチェンジが可能です。
奨学金をつかって大学に通っている場合、貸与型奨学金制度(在学中卒業まで対象)や、奨学金返済支援手当(返済開始から10年)といった制度を利用することで、金銭的な面でもサポートが受けられます。
横浜市の福祉業界へ就職を考えている新卒就活生のためのメディア「ラ・レトル」は、現職社員の声を集めた就職者向けポータルサイト「VOiCE」を運営するZenken株式会社が制作・運用しています。「福祉」という、クリエイティブで奥深い業界の魅力をぜひ知ってもらえることを願います。